
昨日、私と便秘外来医師の先生とで、ある高齢者施設に向けた排泄ケアについてのオンラインセミナーを開催しました。
排泄ケアと聞くと、多くの介護・看護スタッフが
「難しい」「負担が大きい」「どうしても後回しになりやすい」と感じる領域です。
実際、現場では下剤に頼らざるを得なかったり、摘便が習慣のようになってしまっていたり、利用者の苦痛が見過ごされてしまうケースが少なくありません。
しかし本来、排泄は「生きる営みそのもの」。
その人の尊厳、生活の質、心の平穏に直結しています。
腸活の講師を6年やってきましたが、
看護師として、もっと現場に貢献できることはないかと思っていた際に、
便秘外来の津田桃子先生の、摘便のない施設を作りたい、北海道が排泄ケアの行き届いた地にしたい!!という思いを伺い、大きく賛同しました♡
排泄についてのプロの看護師・介護士を北海道にたくさん作りたいという強い想いで活動したいとはじめていきたいと思っております。
■ なぜ今、排泄ケアを見直す必要があるのか
日本はこれからも高齢化が進み、多くの施設で排泄ケアはさらに重要度が増していきます。
しかし現場の排泄ケアには、長年の課題が残されています。
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下剤が漫然と増えてしまう
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摘便がルーティン化してしまう
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排泄のタイミングや姿勢が整っていない
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ケアの方法が人によってバラバラ
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そもそも“何を見ればよいか”が不明確
これらは、決してスタッフの努力不足ではありません。
排泄ケアが体系化されてこなかったこと、医療と看護・介護の連携が十分になされてこなかったこと、教科書に載っていない部分が多いことが原因です。
そして、時間やコスト面、精神的な部分でも利用者さんとスタッフ双方の負担が大きく、
「どうすれば利用者さんの身体がもっと楽になるのか」
「どうしたらスタッフの負担を減らせるのか」
という問いをずっと抱えてきたのではないでしょうか。
■ 医師が語る「医学的根拠に基づいた排泄ケア」
今回ご一緒いただいた便秘外来医師の津田桃子先生は、患者の無駄のない安心で自然な排便を取り戻すことを大切にしている方です。
Instagramやyoutube などでのフォローワーも多く、とても分かりやすい説明に多くのファンがいらっしゃいます。
http:// Instagram instagram.com/momoko_benpi.dr
時間が限られた短い時間のセミナーでしたが、
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排便の仕組み
- エコー所見から“摘便が必要かどうか”を判断できる
など、医学的根拠に基づいた排泄ケアの重要性を分かりやすく説明していただきました。
排泄ケアを正しく行うには、医療的視点が欠かせません。
そしてその視点は、看護師や介護スタッフが安心してケアを提供する後ろ盾になります。
便秘外来医師である桃子先生と看護師で腸活事業をしてきた私と一緒に取り組んで北海道の排泄ケアを盛り上げていけるにはどうしたらよいのかしっかり計画立てて取り組んで行きたいと思います。
■ 私が伝えたかった「日々のケアの積み重ねが未来を変える」ということ
一方、私は看護師として、こちらも短い時間で限りがありましたが、日々の現場で積み重ねるアセスメントの大切さをお話ししました。
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排便日誌のつけ方とアセスメントについて
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姿勢の整え方(足台の重要性)
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その人に合った排泄パターンの見つけ方
排泄ケアは、医療とケアの両輪がそろったとき初めて効果を発揮します。
どちらかが欠けてしまうと、改善まで遠回りになってしまうことも多いのです。
しかし逆に言えば、
日々の小さな積み重ねが、利用者の未来を大きく変える ということ。
「夜ぐっすり眠れるようになった」
「お腹の張りがなくなって気持ちが軽い」
とサロンに来てくださるお客様も笑顔でお話してくれます。
排泄が整うだけで、人はこんなにも表情が変わる。
私はそれを何度も見てきました。
なので、施設や訪問看護ステーションの利用者さん、病院の患者さんにもそうなって欲しい。
ケアが他人に委ねられているので、スタッフの知識と実践力が大切になりますね!
■ 排泄ケアを“特別ではなく当たり前”にしたい
排泄ケアは“特別なこと”ではなく
「本来あたりまえに行われるべきケア」 だということ。
排泄は誰にとっても大切な身体機能で、
その困りごとが放置されていい人なんて一人もいません。
産まれてから死ぬまで排泄はあります。
利用者本人も、スタッフも、皆が楽になるケア。
それが排泄ケアであり、適切なアセスメントと温かい関わりがあれば、必ず改善に向かいます。
今回のセミナーをきっかけに、
多くの施設で排泄ケアがより自然で当たり前のものになる未来にしたいと強く思いました。
■ 最後に:小さな一歩が、大きな変化を生む
排泄ケアの改善は、決して派手なものではありません。
しかし、利用者の日常を大きく支える本質的なケアです。
排泄ケアが、誰にとっても当たり前で、安心できるものになるように。
これからもこの活動を丁寧に続けていきたいと思います。